団体戦には、3ペアまたは5ペアの団体戦が一般的ではないだろうか。その3番手また5番手、つまりチームの最後のペアについて書いてみたい。(最近はシングルスが入るケースもあるようなので、必ずしもペアという表現は正しくないが、ここではシングルスを考慮せずに記載する)
5ペアの団体戦の場合、最後のペアで勝負が決まるという事は、そう何回もないと思う。大抵前のペアで勝負の決着がついている事が多いと思う。勝負がついている可能性が高いとなると5ペアの団体戦の場合、チームのNo.1やNo.2のペアを5番手にする事はできないだろう。
しかし、もしも5番手に勝負がかかったら、と思うとNo.5のペアを5番手にする事もできない(4番手までに勝負をつける。5番手に勝負がかかったら運を天に任す、というオーダーなら話は別ですが)。
そうすると5番手は、単純にNo.3かNo.4かという事になってしまう。でもそういう決め方だけでいいのか。
戦力の整った相手チームの5番手は、やはりある程度強いペアが出てくる事が多い。チーム内に強い3ペアがいるなら迷う必要がないだろう。でもいない場合は、私は安定して勝つことができないが強い相手にも勝てる可能性があるペアを5番手にした方がいいと思う。調子がいい時は大物食い。でも調子が悪いと格下の相手に負けてしまう、というような感じのペアだと思う。
あとは度胸があるペアがいいだろう。勝負がかかる状況で緊張しない人はいないと思う。しかし緊張してもあまり普段と変わらない、または普段以上によくなるというタイプの人もいるだろう。相手が緊張して普段の力を出せないという可能性もあるのだから、普段どおりにできれば、それだけで勝てるかもしれない。
要は相手ペアと相対的にみて、緊張した場面でどれだけ普段の実力を発揮できるかという事だと思う。そういうタイプが適していると思う。
緊張しない方法があるのだろうか。ないかもしれない。しかし5番手勝負になった時にパニックになる事を避ける方法はあると思う。
パニックになると、どうしたらいいかわからないという状態になるのだろう。普通はそのような時は、落ち着け、とか声をかけるのだろうが、そのような声はほとんど本人たちには聞こえていないと思う。
しかし、以前私は全然違う事を言われたことがあり、鮮明に覚えていることがある。5番手勝負になった時に、まさにこれから試合を始めるためにコートに入る時に先輩に言われたのが、
「5番手は何のためにいるのかわかるか? 2対2でまわって来た時に勝つためにいるんだ。ここで勝たなければ5番手の意味がないぞ。」
普通、2対2でまわってきて普段以上に緊張する場面で、このような事を言わないような気がする。返って緊張してしまうのではないかと思う。しかし言われた私の感想はちょっと違った。勝てばいいんだ。ただ勝つ事だけを思うようになれた。他の事、特に悪い事を考えなくなり、気が楽になった。そう緊張も解けて、勝つ、という事だけ思えるようになったのだ。
これが全ての人に当てはまるのかどうかわからない。しかし試合直前または試合中という時に細かな事を言っても始まらないと思う。それらは練習の時に言うべき事であり、試合では細かな指示は不要だと思う。
5番手の真価は2対2でまわって来た時に勝てるかどうかなので、どのような気構えでいないといけないかという事だけが試合の時は必要なのではないかと思う。
あと勝負が決まった後にまわってきた場合だが、トーナメントだと試合がないかもしれない。しかしリーグ戦だと三つ巴などになった時のために、勝敗をつけておく必要があるので試合を行う。三つ巴などを考えれば当然勝たなければいけない。
しかしそれ以上にリーグ戦の場合は次の試合に影響を与える可能性があるので、そちらの意味でも勝つ、またはチームとして次の試合につながるテニスをしなければいけないと思っている。
たとえ4連敗でまわってきても5連敗して次の試合に臨むのと、最後に1勝していい雰囲気にして次の試合に臨むのとでは勢いが大きく違うと思う。
そういう意味でも5番手は、チームとしての勝敗が決まっていてもしっかりしたテニスをしなければいけないと思っている。