社会人になるとあまり基本練習をみっちり時間をかけて行う事がかなり少なくなると思うが、学生の時はかなり時間をかけて基本練習を行っているのではないかと思う。乱打の時にコートに入れなかった時の玉拾い。前衛のボレーやスマッシュ練習の時は後衛が玉拾い。後衛の一本打ちの練習の時は前衛が玉拾いといった具合である。
この玉拾いの時、何を思ってやっていますか?
今一度考えてみてほしい。玉拾いの時間ってかなり長いのだから、ただひたすらボールを拾っているだけではもったいない。せめてダッシュで玉拾いして足腰を鍛えているという人はいるのではないかと思うのだが、もっと重要なところを鍛えるのにもってこいの場であるという事に気が付いているだろうか。それはすべての球技の基本ではないかと思う 目 である。
なぜ目が重要か。球技の場合、まず最初にボールの情報が入ってくるのは目である。なぜなら目が最初にボールの位置を捕らえ、目でボールを追い、ボールを自分のものにして攻撃するのが球技の基本ではないだろうか。
つまりソフトテニスにおいても相手が打ったボールを目で捕らえて、最終的には自分が今度は相手コートに打ち返さなければならないのだから、目で捕らえる事が重要である。
さて、ではなぜ目を鍛える必要があるのか?
1つは相手が打つ前に打つコースがわかるようになるためである。それは次の節に詳しく述べるとして、もう一つはインパクトの瞬間のラケット面を見極める事により球種も判断できるようになるからである。
つまりラケット面の動きでドライブボールなのかスライスボールなのかがわかる。そんなの目を鍛えなくてもわかるよ、と思った人が多いのではないかと思う。そう、そのとおり。ドライブボールとスライスボールは簡単に見極められる。しかしである。同じドライブボールでも大雑把に言って3種類ある事を知っているだろうか。
右利きの場合、ストレートのドライブボール。リバースのドライブボール。つまりワンバウンドしてから体に近づいてくる球種。それから体から離れていくドライブボールである。これらがわかるようになる。ボールが近づいてきて、初めてボールの回転で判断するとかバウンドしてから判断しているようでは、当然遅すぎるのである。インパクトの瞬間のラケット面の向きと振り抜き方でわかるはずである。どのようになればどのようなボールであるかを文書で説明するのは難しい。しかしそういう事がわかるようになるという事を意識して相手が打つボールを見て、打ち方と実際のボールの回転を覚えて欲しい。そういう意味でも目を鍛える必要があるのである。
後衛の事を書いてきたが、前衛も同じである。相手の打つコースをいち早く正確に判断さえできれば、いち早くポジションを取れて、こんなに楽な事はない。球種がわかれば、ボレーの時どのぐらいボールが曲がるかとか、スマッシュの時スライスボールなら少し後ろに伸びるとかを計算して下がる事ができる。
このように前衛も後衛も相手が打つ瞬間をよく観察して、どのようなボールを打つかを判断できるようになる事が必要がある。その訓練をするのは自分が打っている時よりも打っていない時で、外から見ている時の方が集中できる。
つまり、玉拾いをしている時がかっこうの目を鍛える場という事になる。ボールが飛んで来るコースを早く判断できるようになれば、玉拾いも楽になるし。
ぜひ目を鍛えて、試してみてほしい。